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学校の昇降口につくと、青いプラスチック製のすのこ上で上靴に履き替えた。そして、下靴を靴箱にいれると十メートル程廊下を歩き、角を曲がったところにある階段を上る。
未來は最上級生、すなわち中学三年生だ。彼らの教室は三階にある。蛇足ではあるが、一年生は一階、二年生は二階に教室がある。各学年、三十人一クラスが四つあった。
未來は三年二組。席は窓側。いつもどおり、未來は自分の席に座った。
中庭のほとんど散ってしまった桜を見るのに目を細める。淡いピンクの桜の花はほどんどなく、そのかわりに黄緑の若葉が茂り始めていた。当たり前のような桜の姿。それが儚いとも思える。
「最近、自殺する奴多いよな」
「たしかに、多いよな。あれやんな? 忘れたけど、風呂場でやるやつ!」
未來は近くの男子生徒二人の会話に、耳を傾ける。彼らの話題である「自殺」。そのワードがやけに気になった。
「そうそう。多いよな」
「なんで、死んだんだろ」
「『死んだ』じゃなくて、『死のうと思った』じゃね?」
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