恋愛とはなにか。私は言う。それは非常に恥ずかしいものである。

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座っているベッド。背中合わせをしているような感覚。 後ろで、遙がいつも浮かべていたような笑顔のまま座っている気がする。 振り返ることはない。現実を見なくてはいけなくなるから。 いるわけが――ないのだから。 「ね。あたしの死体見た?」 まるで昨日のドラマ観た?と尋ねるような口調。 これは元来の遙の性格なのか、それとも一度死を体験したが故か。……解らない。 「……ああ」 答える。両の目で、しかと見たと。 「ちゃんと『返事がない、ただの屍のようだ』ってやってくれた?」 「やってねーよ」 俺のシリアスを返せ。
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