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誕生日にして恋人の命日。まったく、喜べばいいか悲しめばいいかわからない。
喜べる気分じゃないし、悲しめばあいつは怒るだろうし。どうすりゃいいんだよ、一体。
ちぐはぐでめちゃくちゃな感情を遺しあいつは死んだ。
俺の心をぐしゃぐしゃのばらばらにして、あいつは逝った。
時計を見る。午後八時ジャスト。
九時まで。あいつが死んだ瞬間まで、あと一時間を切った。
何をしようかと考えたがするべきこともしたいことも見当たらない。結局時間の進みは一定で、何かをしていてもいなくても変わるのは体感時間だけで現実には変わらないのだから、何もしないことにした。
コンポも、コンセントを引き抜いて電源を切る。
入っているCDは気に入りの曲なのに、その音が無性に耳障りに聞こえたから。
一時間。六十分。三千六百秒。
三千五百五十九秒、三千五百五十八秒、三千五百五十七秒。
三千五百……いや、やめよう。不毛過ぎる。
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