さよならヘヴン

恋愛とはなにか。私は言う。それは非常に恥ずかしいものである。

「んっふっふー」
俺の反応が面白かったのか、……間違いなくそうだろう、満足げに笑う声。
「ドラマチックっしょー。あれだよ。天国からの電話ってやつ。うっわ、ありがちっ。なんか、死んでもざんりゅーしねん？残留思念？ってぇのが残っちゃったみたいでさ。何故か電話っつー無闇にドラマな媒介を通してだけ話せるみたいなのよ」
ぱんぱかぱーん、と、でたらめに明るい声で言う。

……残留思念？
言葉は解る。
ホラーや何かでよく出る熟語。文字通り残留した思念。
だからって、言葉を知っているからって、俺はそんなものの存在を信じているわけじゃない。