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悪魔の羽
日曜日にアズキは公園に絵を描きに行くからと朝からでていった
俺はのんびりうたた寝をしていた
時間をみると昼を過ぎている
ユキに餌をやっていつもの公園にいってみた
ベンチにはアズキのスケッチブックとクレヨンや鉛筆が揃えられていた
『アズキ!』俺は公園中探し回った
まさか店?と思いいってみたがアズキは来てはいなかった
センターの鈴木さんにも連絡して探してもらった
夜になっても行方はわからず、藤田さんは警察に行こうと言ってくれた
アズキの写真を見せ、事情を話して捜索してもらうことになった
次の日も連絡がなく、俺は途方に暮れた…
やっと連絡があったのは夕方だった
警察にいくとうずくまるアズキがいた
『歌舞伎町のゴミ捨て場で泣いてたんです…』と警官がぽつりと言った
『お兄ちゃん!痛い!痛い!』アズキはそればかり叫ぶ
『さっき医師にみせたんですが…どこも異常なくて、どこが痛いとも言ってくれなくて』
『痛い!痛い!火傷したみたい!痛い』と泣き叫ぶばかりだ
『アズキ、どこが痛いんだ?お兄ちゃんに話してごらん?』
鈴木さんがジュースを買ってきてくれて、アズキに飲ませた
少し落ち着いたのか泣き止んだ
『背中痛いの…!』
鈴木さんはそっとアズキの服をめくった
『きゃっ!アズキちゃん…』と絶句した
俺は慌てて背中を見た
そこにはおぞましい、悪魔の羽の入れ墨がはいっていたのだ…
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