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『どんな入れ墨だったんだ?』
『龍が二匹睨みあってるの…でも怖くなかったよ綺麗だった。アズキは背中洗うの上手いって(笑)』
俺も悪の端くれだったからなんとなくわかった
若手のやり手のやくざだ
俺は関わりを持たせないためにも、アズキを毎日センターに行かせて気持ちをそっちに向かわせた
なのに夜中声を抑えて泣くアズキが不敏でたまらなかった
俺は何事もなく順調に仕事を続けていた力仕事で疲れるがアズキのためなら力が入る
ある日センターから電話がかかってきてアズキがいなくなったと言う
俺は社長に相談して早退させてもらった
真っ先にあの店に行ってみた。やっぱりアズキがいた…
『センターの鈴木さん心配してるから帰ろう?』
『やだ!雅也さんに会うの!』
店長達も困ってた『お兄さん、こうなったら俺雅也呼びますよ。そしたらミルクちゃんも落ち着くかも…』
俺は店長に任せた。電話して1時間…彼はやってきた
アズキは無邪気に彼に抱き着いた『ミルク、久しぶりだな(笑)ほらドーナツだ』と箱に入ったドーナツをアズキに渡した
『ミルク、お前まだ17だったんだな。だからまだこんなとこで働けないんだ。わがまま言ったらいけないよ。俺は忘れたりしないから、ミルクは自分の仕事また見つけて頑張るんだ』
『雅也さんの背中洗えないの?キスもできないの?』
『そうだ…もうこの仕事は終わりだ、約束できるか?』
『…嫌だけど約束する』アズキは彼の頬を軽く触った
『これで納得できたでしょ(笑)』
『ありがとうございます』と俺は頭を下げた
アズキは唇を震わせ、零れそうな瞳で店を出ていく彼を見ていた
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