絶望

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もう慣れてしまった感覚通り、目を開けるといつもの時間。 寝ていたわけじゃない。瞑想に近いんだ。 ドキドキしながら独り言を洩らす。 「…コホッ。…おはよう。…あーあーあ…うん。」 今日初めて口を開いて、まるで発声練習を行う。 洗面所で身だしなみを整えて、「よしっ!」と気合いを入れた。 それでも、洗面所の鏡は割れている。 自分の顔が嫌いだから、中学生の時に割ったんだ。 今はもう高校生。 大人になった僕は、ひび割れた鏡に自分を写す事にようやく慣れたんだ。
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