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どこに向かえばいいのか解らない。
誰も、何も見つからない。
まばたきをすれば、一瞬の暗闇さえ
あの光景を思い出させるんだ。
血走る目が乾きを帯びて、ピリピリと刺激を伝わせる。
流れる涙は、透明なのかな。
赤色なのかな。
知りたくもない。
あれは、僕。
苦痛に顔を歪ませる
従順なだけの人形の僕だった。
ふらふらと街を徘徊する足が絡まって、躓きよろけた時
僕の名前を呼ぶ声が聞こえた。
僕の大嫌いな名前をさ。
あいつと同じような名前。
あいつが僕に刻みつけた呪いの始まりだ。
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