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煙草を吸いに行くとは言ったものの、喫煙所には行く気になれず校舎の東側にある庭に行きでかい岩に座る。
春の風が心地良い。
ぼんやりしていると風に煽られた花びらが飛んできた。
「桜か…」
そういえば、今日は俺の誕生日だったな。
生まれた日は桜が満開だったそうだ。
なのに名前は藤。
藤の花は4月下旬から5月上旬に咲く。
微妙に時期もズレている。
まぁ、春に咲くから別にいいんだけど。
春といえば桜が一般的だが、俺のお袋は春といえば藤の花。
親父は桜もしくは桜を使った名前にしたかったそうだが『藤じゃないと絶対嫌!!藤じゃないと離婚よ!!』と脅迫紛いな我が儘を言うお袋に親父が折れたのだ。
今思えば俺は藤で良かったとお袋に感謝している。
何故かと言うと親父が考えた名前の候補の中に『桜司郎』という名前があったからだ。
字が多少違うとしても桜次郎と同じ名前なんて絶対嫌だ!!
そんな事を考えながら花びらが飛んできた方、桜の木本体に目をやった。
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