朱けの紅(ひかり)闇照らし深淵に至る

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カツカツカツ・・・・ 無言のまま、歩く足音。 それは2つ。一つは規則正しい比較的小さな音。もう一方は先のものに対して足音のリズムが、若干長い。 最初のはおそらく女性。そして、もひとつは男性だろう。 そして2人は暗闇の道を進み行く。 ポツポツとあるランプの灯りじゃ陰鬱な雰囲気は払えない。 「お呼びですか?」 やがて奥に至り、一人の人物を確認。 2人の内の一人の女性が声をかけた。 「うむ。実は任務を離れて、ある人物について貰いたい。」 「火黒・・龍二ですかい?」 肩をすくめてもう一人が問いた。 「察しがよいな。そうだ。最近サタン教の活動が頻繁になってきている。八大幹部が一挙に3人も学園に侵入してきたようだ。その対処だ。」 「へぇ・・・そうかい。なら部隊は返却するんで。」 男はヒラヒラ手を振りながら、背を向けた。 「では私もおいとまします。 ヴァルキリーの指揮権はお返し、任を離れる許可を。」 「認めよう。至急火黒龍二の元で補佐をしろ。また、君達両名の位は火黒龍二と同格とする。存分に力を奮って悪の普及を防げ。」 「はい。」 スッと身を軽く翻した女性は、来た時と同じ様で帰っていった。 「・・・監視は消えたか・・・これで動きやすくなった。 涼水大地、ディオボルツ・ラミア・グランフォード。 計画は順調だ。 後は削除するのみ。」 淡々とした声と薄ら寒い響き・・・ 人物・・・幻獣会総帥は、酷く渇いた笑みを浮かべていた・・・
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