第三章 遺跡からの脱出

30/36
前へ
/113ページ
次へ
「貴様に教えてやる理由はないな…………小僧」 「なっ?!」 カインはスピネルから視線をレインへと移した。 「どうする…………?魔狼」 「グルルルルルッ」 カインとレインは視線を外す事なく相手を見る。 しかし、レインは威嚇を止め紫月の横に移動した。 いつでも攻撃出来る様に。 それを見ていたカインは呟いて、紫月の所まで来た。 「……いい判断だ」 紫月の横に屈み仰向けにする。 そして頭を膝に乗せ、額に手を当て何やら呪文を紡ぐ。 すると、カインの手から淡い光が出てきて、紫月の身体を覆う。 (まさか、魔力がまだ身体に馴染んでないのに、魔法を使うとは…………。 魔力を暴走させる程使うなんて、怨むぞヴェルフィルム!) カインはほんの一瞬哀しそうな顔をしたが、すぐに元に戻った。 そんなカインを見つめるスピネル。 (何を考えてやがる? 通常魔族が人間を、助けるなんて有り得ねぇ!! 使い魔ならまだしも…………あいつは異世界の人間。それは有り得ねぇ…………)
/113ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1206人が本棚に入れています
本棚に追加