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俺達が一階に行くと、数名のお客さんと、唯と母さんがカウンターに座って飲み物を飲んでいた。
「おうゆーちゃんにひのき。お帰り」
俺達に気付いた親父さんは、いつもと変わらない顔で、俺達に言った。
「迷惑かけてすいません。俺、手伝います」
俺は一旦親父さんに頭を下げ、制服のまま厨房に入り、厨房の壁に掛けてあるエプロンを着て、調理の準備に入る。
「お兄ちゃん、ひのきさんと仲直り出来たの?」
俺が水道場で手を洗っていると、唯が心配そうに聞いてきた。
「あぁ。なんとかな」
おかげでデートするハメになったけど。
「よかった」
唯は本当にホッとしたらしく、胸に手を当て胸をなで下ろした。
「おい愚息」
いきなり母さんに酷い言われ方で呼ばれた。
「こら緋奈(ヒナ)。ゆーちゃんをそんな酷い呼び方で呼ばない」
母さんを緋奈と呼んで叱ったのは、ひのきの母親のかえでさんだ。
「……わかったわよ。ほら夕、私をいつまで待たせてんのよ。早く作りなさい」
しぶしぶ了承し、俺に飯を作れと強要する母さん。
本来なら、先に食ってろと言いたいんだが、母さんのことだから、俺が戻って来るまで待っていてくれたのだろう。
「はいはい。で、何がいいんだ?」
「食えるもん」
当たり前だよ……
「お兄ちゃんが作るものなら、唯は何でもいいよ」
うん。
なんて唯は優しくて可愛いんだろう。
「了解致しました。では、ラーメンにします」
そんなわけでラーメンになった。
ちなみに母さんは、肌が綺麗になると言う理由で、トンコツしか食べず、唯は好みがコロコロ変わるが、表情から読み取る限り、今日は塩ラーメンみたいだ。
十分後、ラーメンが出来上がった。
ちなみに、ひのきもラーメンが食べたかったらしく、ひのきの分も作り、俺を合わせて四人前のラーメンを作った。
「お待ちどうさま」
俺はそう言って、三人の前に差し出す。
「いただきます」
「いただきます」
唯とひのきは礼儀正しく、母さんはまるでフードファイターのごとく、差し出された瞬間に食べ始めていた。
俺はその後、親父さんに頭を下げて、一緒にラーメンを食べた。
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