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「あら、目が覚めたのね。おはよう」
…………。
………………なんで?
なんでいらっしゃるの?
「あら? もしかして、君って目を開けたまま寝るタイプの人だったのかしら?」
いや、俺は目を閉じて寝るタイプですし、そんな特殊な人間では一切ありません。
「寝てるならちょっと悪戯してみようかしら」
いや、会長。
なんでそんなものを持ってるんですか?
マジックペンなんかを……
「フフフ……まずは手始めにおでこに【肉】の文字を……」
「やめて下さいッ!」
この人……危険だ!
「あら、起きてたのね」
「起きてましたよ! 起きてましたとも! 驚きのあまり言葉に出来なかっただけですよッ!」
「そうなの? でも、あんまり大きい声は出さない方がいいんじゃないかしら? 妹さん起きちゃうよ?」
そう言われて横を見ると、唯が「う……うん」となんだか起きちゃいそうな雰囲気だった。
「ちょっと下に来てもらえますか?」
聞きたいことがたくさんあるんで。
「いいわよ」
そんなわけで、パジャマ姿の俺と、お出掛け衣装の会長は、一階に向かった。
†
「で、なんでいるんです?」
朝食を作らないわけにはいかないので、朝食を作りながら聞く。
「そんなに怒らないでよ。ただの三時間三十分前行動じゃない」
三時間三十分前行動はただでは出来ません。
「どうやって入ったんですか?」
俺、寝る前に必ず鍵チェックするんですけど……
「ちゃんと玄関からちゃんと入ったわよ?」
「だからどうやって」
「この合い鍵を使って」
そう言って、ポケットから一つの鍵を取り出す会長。
「……何作っちゃってんですか」
「君の家の合い鍵」
知ってます。
わかってます。
見ればわかります。
「はぁ、あの~妹とか母さんが起きると大変なことになるんで、すみませんがもう一度、出直してもらえませんか?」
いきなり見知らぬ女性が俺といたら、特に母さんになに言われるかわからん。
「嫌よ。だって私、君のご飯を食べたいし」
「食べたら出ていくんですか?」
「そんなにカリカリしないで。一応、お母様に挨拶をしておかないとね」
何をだよ。
「やめて下さい」
「いいじゃない。近い将来の予行練習よ」
誰の将来ですか。
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