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「じゃあ、改めてやりましょうか」
よし、逃げる手段を考えよう。
まぁ冗談ではあるが、逃げたくなるほど嫌な予感しかしない。
そんな俺の気持ちなんぞつゆしらず、会長は箸の先っぽを握って、俺に差し出してきた。
「ほら夕緋君。好きなのを取って?」
好きなのと言っても、二つしかないんだけどね。
まぁそんなことは決して俺は声には出さず、とりあえず一つを選び、会長と一緒に引いた。
……俺が引いた箸の先には【壱】と、何故かかっこよく書かれていた。
うん。
王様……いや、女王様は会長に決まった。
俺が残念な気持ちで会長を見て見ると、フフフと笑っていた。
その笑顔が可愛く思えたのは秘密だ。
「そういえば、こう言って、王様が誰か教えるのよね」
まぁ王様が会長なのは一目瞭然なんですけど。
「せーの、王様だ~れ!」
だから会長でしょ。
「あら? 夕緋君は王様じゃなかったの?」
だって会長が王様なんですから当たり前でしょ?
わざわざ聞かなくていいです。
「残念ね。私が【王様】よ」
知ってますよ。
そんな可愛らしい笑顔で【王様】と書かれた箸を見せないで下さい。
憎みたいものも憎めなくなっちゃうじゃないですか……
「じゃあ王様からの命令よ。夕緋君。君は私の膝を枕にして十分間眠りなさい」
……………………はぁ?
何を言っているんだこの人は。
それは罰ゲームではなく、ただのご褒美です。
むしろしたいくらいの罰ですよ。
「あの~会長?」
「何かしら夕緋君」
「それは罰ゲームではなく、ただのご褒美です」
「王様の命令が聞けないのかしら?」
問答無用。
まぁ会長がそれでいいなら、俺はいいんですけど。
ハッ!
これはまさかの羞恥プレイというやつか!
…………なわけないよな。
だって、この部屋には俺と会長しかいないわけだし、確かに恥ずかしいが、大丈夫だ。
大丈夫だ。
つい二回も言ってしまった。
大丈夫だ。
…………………
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