†第三報告書†

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  「失礼します」 「失礼はしないでね」 「はい」 そんなわけで、俺は差し出された膝に、頭を置いた。 …………気持ちいい。 いや、嫌らしい気持ちで言ってるのではなく、気持ちいい。 なんかこう……柔らかい。 そして、会長の温もりと豊潤な香りが加わり、さらに気持ち良さを引き立ててる。 気持ちいい。 俺は唯になら膝枕をしたことはあるが、俺自身は一切されたことが無い。 母さんはあんなんだし……ね。 なるほど。 唯の奴が執拗に俺に膝枕を要求する理由がよくわかる。 よし…… 帰ったら唯に頼んでみよう。 「気持ちいいかしら? 夕緋君」 俺が家に帰ってからの予定を立てていると、会長が俺の顔を覗き込むように聞いてきた。 「気持ちいいです」 俺は正直に答えた。 俺は別に会長に変態と思われてもいい。 だって、こんなことを命令した会長にも非があるわけだし。 第一、逆に気持ち悪いと言った方が失礼だしね。 「そう。それは良かったわ」 予想に反して、会長の反応はいたって普通で、そう微笑んで俺の頭を撫でてきた。 いや別にこれが普通の反応なわけはないのだが、むしろ異常だ。 これが恋人同士ならまだしも、俺と会長の関係は、会長と副会長。 もっと言えば先輩と後輩の関係だ。 それなのにも関わらず、これは……ありえないよな? ありえてるけども。 「あの~会長?」 「何かしら夕緋君?」 「なんでこんなことを命令したんですか?」 俺がそう聞くと、会長は色っぽく笑った。 「未来の予行練習よ」 ほう。 なるほどね。 会長の初恋の人とやらにする時、相手により気持ち良くなってもらう為に、パシリである俺を実験台して練習ってわけですか。 納得だわ。 「会長」 「何かしら夕緋君?」 「会長の膝枕は、絶対初恋の人にも喜んでもらえますよ」 「そう? 夕緋君はこうされて嬉しい?」 「まぁ……正直嬉しいです」 「フフ、どうやら君の言ったことは本当のようね」 会長はそう言って、より一層可愛らしい笑顔になっていった――    
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