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寂しい季節の余韻が
たなびくこの街には
気付かれることのない花が開く
静かに流れるせせらぎは今日も
遠ざかっていく思い出を探して
悲しみの数だけ
落ちていく溜め息に
儚くも咲き誇るサクラソウ
新しい季節に
忘れ去られていく
この街に小さな種を残して
泣き出しそうな空に
ふわりと浮かべた花の香は
伝わることのない優しさの証
どんなに綺麗な歌よりも
心に響く音色を探して
優しい思い出を
振り返りながらも
今ここに咲き誇るサクラソウ
しっかり前を見据えて
歩いていけるはず
もう一度その花は芽生えるから
悲しみの数だけ
愛された花の名
いつまでも忘れないサクラソウ
新しい季節に
忘れ去られていく
この街に小さな種を残して
いつかまた咲き誇るサクラソウ
胸に抱いて
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