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あの二人……、何してたの?
温かい雫が頬を伝って、制服の襟に水玉模様を幾つも作る。
それは、相沢くんの手の平も濡らしていた。
そっと手を離される。
視界が、夕日のオレンジと逆光で暗くなった顔を捕らえた。
眉をハの字にし、ひたすら「ごめん」を繰り返している。
「あい……ざわっく……、なんでぇ……っ?」
込み上げる嗚咽の中で、必死に言葉を紡ぐ。
なんで?どうして?嘘でしょ?
今見たのは嘘だって、誰か言って。
「ごめん……」
そんな願いは、相沢くんの声でかき消される。
謝り続けるその言葉が、嘘ではない何よりもの証拠。
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