37106人が本棚に入れています
本棚に追加
要、どうして?
あたしを撫でたその手で、他の子を触るの?
あたしが好きになったその手で。恋をした手で。
腕時計をした手で。
……触るの?
頭が混乱して、ただ泣き続けるあたしとは正反対に、相沢くんは変に冷静な態度でいる。
あたしたちは同時に恋人に裏切られた……はずなのに。
相沢くんは眉をハの字にしたまま、小さく声を出した。
「ごめん……朝奈、俺知ってた……」
何度目かの「ごめん」の後に、耳を疑いたくなるセリフを言い放った。
「しってた……?って……?」
驚いたせいか、涙は一瞬止まった。
ただ、言葉に耳を傾けるのに精一杯だった。
最初のコメントを投稿しよう!