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「ごめんねっ!すっかり遅くなっちゃった……」
「何で朝奈(あさな)が謝ってんだよ。俺だって日直なんだからさ」
放課後の教室。
窓から差し込む夕日が、教室内をオレンジに染める。
静まり返った教室にいるのは、あたし朝奈まゆり。
そして、クラスメイトの相沢洋司(あいざわ ようじ)。
あたしたちは、お互いの出席番号が1番同士ということもあり、一緒に日直に当たることが多い。
今日は、その多くある内の一日。
そう、多くある内の、ただの一日だった。
それだけで過ぎ去るはずだった。
「だってあたしが先生に呼び止められなきゃ、相沢くんだってこんな余計な仕事しなくても良かったでしょ?」
この日、日直の仕事も終わって帰ろうという時に、担任の先生に運悪く見つかってしまい、「日直の二人でこの仕事を片付けてくれ」と、どっさりとプリントを渡されてしまい、今に至る。
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