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佐倉さんは我慢していた涙をポロポロと瞳から零し、途切れ途切れに話し始めた。
「だって……洋司くんにヤキモチ妬いてほしかったんだもん」
「ヤキモチって……」
「洋司くん……、あたしが男子に告白されても全然平気な顔してて……、本当に好かれてるのか不安だったの……」
佐倉さんは右手の甲で溢れる涙を拭いながら、大きな黒い瞳を細めた。
「だから松本くんに協力してもらって……わざと二人でいるところ見せたの……」
あたし達が要と佐倉さんを見た日。あの日の相沢くんの言葉。
――『松本がいたなら暇じゃなかっただろ?それとも、俺が来なかった方が良かったと思ってる?』
相沢くんが嫉妬する言葉を放った時点で、二人の浮気をするふりは終わっていたのだと佐倉さんは言った。
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