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目が覚めると、そこは保健室のベッドの上だった。
窓の外は薄暗くなっていて、倒れてから大夫時間が経っていた。
「起きれそうか?」
ベッドのすぐ傍から声が聞こえた。
「要……」
覗き込む顔が、逆光で暗く見える。
目を細めて、柔らかく微笑む顔。
大きな手の平が額に触れるのを感じた。
「熱はもう無いみたいだな」
「うん……」
優しい笑顔に、温かい手のぬくもりに、目の奥がジンと熱くなる。
「ごめんね……」
「何で謝ってんだよ?」
ハハッと軽く要が笑った。
ごめんね……。信じられなくて。本当はずっと同じ気持ちでいたのに。
あたしさえ信じていれば、傍にいられたのに。
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