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見たくないのに、目が離せない。
まばたきすら許されない。
頭が混乱してよく分からない。
なに?これ……。
だって、あの腕時計は……――。
「朝奈」
小さな声が耳元で聞こえた。
そう思った瞬間、広く大きな手が目を覆った。
突然視界が真っ暗になる。
なのに、二人の映像が眼前に貼りついて剥がれない。
「朝奈、こっち」
短く言い放つ声が導く先は、『2-3』と、プレートが示す部屋の中。
隣のクラス。
つまり、あたしと相沢くんの教室。
目を手で塞がれたまま、椅子に座らされる。
「朝奈……、ごめん……」
頭の上から、低くて小さな声。
なんで?どうして?相沢くんが謝るの?
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