エピソード1

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 セトとリリーの一連の騒ぎで騒然となった教室だったが、時間の経過と共に徐々に和やかな雰囲気に戻っていった。  ただ、リリーが艶やかな笑顔で疲れきった顔のセトを引き連れて戻ってきた時は、男子生徒数名が セトに同情の眼差しを送っていた。  その中の一人だったガイに聞いてみると 「いや、許嫁がいるのは同じなんだけどよ?女が強(したた)かって言うか、主導権握られると大変なんだよ」  と苦笑混じりに話していた。  その後もセトはリリーに一方的に(半ば無理やり)愛でられ、他の生徒はこの二人はいじらなければ無害と判断したのか、それぞれ自己紹介をしあっていき、瞬く間に規定の時間が過ぎ去っていった。  そして、トーワの案内の下、多目的ホールへと移動した。  そこには、すでにほかのクラスの大半が揃っており並んでいたが、その周りに置かれているテーブルの上の軽食が気になるのか、ザワザワとしていた。  数分後、全てのクラスが揃い、軽食を食べながら多くの人と仲良くなってほしいとの学年主任の挨拶の後、教師も混ざった親睦会が始まった。  教室でもそうであったが、やはり各種族の代表の子供たちだけあってワールドエッグの面々の周りには人集りが出来ていた。  光の周りにも出来ていたが一度教師に呼ばれた事により、今は一人で休んでいた。  そこに一人の女生徒が近付き、光にオレンジジュースを差し出す。 「お疲れの様ですね、光さんは」 「はい、僕はこういうパーティーなんかは慣れてないもので…、フェイさんみたいにずっと話したりは難しいですね」 「フェイ様は産まれた時からそういうのに参加せざるを得なければならないお方でしたから」
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