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そこは見渡す限りの平原で春になると一面の花畑で有名な場所だった。
だが今は、草花は焼き払われ、所々では未だ火の手が上がり、無数の多種族の兵士が倒れていた。
そして、その中心には20人程の人型が居た。
「はっ、アオシてめぇはもう魔力がねぇんだろ?俺様がこの戦争止めてやるから寝といていいんだぜ?」
その一人、頭部に三本の角を持ち2メートルを越す金髪の大男が隣にいる青年に話し掛けた。
「確かに黄龍の貴方に比べれば魔力量は劣りますけどまだまだやれますよ。それに戦いは魔力だけじゃないですよ?」
その周りにいる人化した龍族や獣族達はクスクスと笑うか頷くかしていた。
だがその時、アオシと呼ばれた青年の前に光り輝く鏡のような物が現れ、その中に女性が映し出された。
「リーダー!各界、各国の王や神に平和条約を締結させました。後はその戦場を止めるだけです!!」
その言葉を聞いてアオシを始めとした一同に一気に緊張が走った。
だがアオシは笑うと平原の端に見えている敵に背を向け、仲間達に振り返り叫んだ。
「皆さん!いま聞いた通り首脳陣には平和を約束させました!あとはここの兵士達を力ずくで叩き起こしてあげましょう!」
頷く者、獰猛に笑う者、魔力をその身に溜め戦いに備える者、態度は違えどその心は一つだった。
「殺さず!死なず!平和を勝ち取る!我ら世界を守る盾とならん!イージス、総員…」
平原の端を埋め尽くしていた兵士達が一斉に動き出す。
そしてそれを見据えてアオシは最後の開戦を告げる。
「突撃ー!!」
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