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「うぅ~、それにしても緊張します…」
光がガイとフェイの口喧嘩を止め、新入生連絡用の掲示板へと向かっている最中に発した光の言葉に、四人は顔を見合わせると一斉にその背中を叩いた。
「いっったぁーー!!」
涙目になりながら割と強めに叩いたガイを睨むとその周りに居た三人と合わせて四つの笑顔が光に向いていた。
「心配すんなアキラ、高校に入るからって俺達が居んだから不安な事なんてねぇよ」
「そうだぞ?我らが共に居るのだ、誇りに思い胸を張っておれば良いのだ」
「まぁフェイさんのは言い過ぎですけど皆さんで居ればなんとでもなりますよ」
「そうよ、私達は友達なんだから高校でも仲良くしましょ」
四人からの優しい言葉に思わず涙が滲むがそれにも構わずに光は笑う。
英雄の弟だからと色眼鏡を掛けず、光自身を見て光の為の言葉をかけてくれる。
それが何よりも光には嬉しかった。
「なんだぁ~アキラ泣いてんのかぁ?ったく、泣き虫な奴だなぁ」
「泣き虫じゃありません!」
その後もマナ以外の三人にからかわれながら入学式会場の大体育館に光達五人は歩いていった。
その後ろ姿を睨む者達が居るとも知らずに。
「くぁ~長かった~…なぁアキラ?お前の兄貴はブラコンか?」
「いや、それ程じゃない筈ですけど…」
「その割には光さんを思わせる話が二、三度ありましたよ?」
アメリアの言った通り、入学式は何の問題も無く進んでいたが光の兄、蒼士の学園長挨拶では次の様な言葉が入っていた。
『私の弟も魔法使いを目指しており、この学園で学びたいと話していました。』
『家族に物を教えるのは大変ですが…』
そんな事を話しているのを聞いて光は苦笑、光を好いているマナは自分と違う立場で光の事を話す蒼士に嫉妬し、他の三人は寝ていたりマナと光を観察していたりしていた。
「ほんと、ズルいなぁ…私達より長い時間アキと居るなんて…」
未だ嫉妬が続くマナが小さくボヤくが光は聞き逃さなかった。
「でも、マナ達にしか見せない顔だってあるんだから許してください」
「あっ…あぅ、うん…」
光は友達としての意味で言ったが、マナには自分が光の特別だと感じてしまう言葉に赤面してしまう。
そして、それをイジラナイ訳が無い三人はどのタイミングで突っ込もうか静観していた。
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