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教室中の生徒達から向けられる視線に苦笑しながら水色の髪に瞳、眼鏡の下にある柔和な笑顔が特徴的な少女アメリアは自己紹介を始める。
「初めまして、ポセイドンの王位継承眷族に選ばれました人魚のアメリアです。得意魔法は水、特に治癒系統は上級まで使えますので言って下されば大抵は治してさしあげます」
そこでとびきりの笑顔を浮かべたアメリアに数人を残し、ほぼ全ての男子が赤面した。
女子の中にも赤面する者も居たが男子に比べれば圧倒的に少なかった。
「…それと皆さん気になっているでしょうけど、私もワールドエッグには参加してますがリーダーではありません。
…まぁ、本人から聞くのが一番よろしいでしょうから、私の自己紹介はこれで終わらせて頂きます」
ペコリとお辞儀をするとアメリアは自席へと戻った。
そして、一人の『人間』の少年が生徒達の前に立った。
その少年は黒髪に黒い瞳、一目見て日本人と分かる少年だった。
「えっと、初めまして、白銀光です。得意魔法は風、体術も習得してますから組み手をしてくださる方は宜しくお願いします。
将来は魔法科学者になりたいと思っています」
光が発した『魔法科学者』と言う言葉に武闘派以外の生徒は感嘆の声を発した。
『魔法科学』とは万物に宿ると言う魔力を分析・解明し、それを科学におけるエネルギー源に応用する事を目的とした、魔法が発展してきてから派生した新たな科学である。
「まぁ色々と気付いてる方もいるかもしれませんがこれからよろしくお願いします」
お辞儀をして戻ろうとする光だが、いつの間に移動したのかガイが光の両肩を持って楽しそうに笑っていた。
「アキラ~、ちゃ~んと言わないとダメだろ?お前がワールドエッグのリーダーだって事をさぁ」
「そうだぞ光、我らはきちんと自己紹介で言ったのだからリーダーである光が言わずしてどうする?」
ガイが笑いながら光がリーダーだと告げるとフェイはそれを肯定する様に助言した。
そして、それ以外の生徒達は驚いていた。
それはそうだろう。今までワールドエッグに所属していると言った者は皆、強大な魔力を有した者達だった。
だがそのリーダーが一介の人間で魔力も人並みなのだから驚くなと言う方が無理だろう。
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