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「いや、やっぱりおかしいですって。僕が一番魔力が少ないし実戦経験もありませんよ。なのにリーダーだなんて…」
光は不服の声を出すが、その言葉にガイは優しい微笑を浮かべて光に対し口を開く。
「アキラ、皆お前が好きだし、いざと言う時はお前は頼りになると信じてる。だからやってくれるよな?」
「ぅう~、でも…」
「男だろ?甲斐性、魅せようぜ?」
「分かり、ましたよ」
(ホント、こういう時だけは口達者ですよね)
(アキが無駄に責任感が強いからじゃない?)
(あるいは無意識下ではやりたがっているかじゃな)
「まぁ、なんにせよこれで誰がリーダーか自他共に認められたんじゃから良しとするか」
驚きが教室内のほとんどの生徒を呑み込んでいる中で、只一人苛立ちを顕わにしている者が居たが、その時は誰も気付かなかった。
その後は教室内が落ち着いてからの再開となったが多くの生徒が同じ感覚を共有したからか、最初より和気藹々(あいあい)とした雰囲気で進んでいった。
だがしかし、その雰囲気も最後の生徒の時に霧散してしまう事になる。
褐色の肌に漆黒の髪、紅く燃えるような紅眼は威嚇するように鋭かった。
「俺の名はセト・プロイツェン。魔貴族がプロイツェン家の次期当主であり上級魔族だ。得意魔法は『闇』」
そして言葉を区切ると忌々しげにある人物を睨み付けた。
「あの学園長に負けて此処に居るが、本当だったら貴様等の悉(ことご)くを破壊する所だが契約させられたのでな、基本的には手出しはしない。せいぜい俺との実力差に絶望し地に平伏せ」
言葉の後もセトと光はお互いから目を逸らさない。
紅い目と黒い目の交錯は時間にすればたった数秒だが、その『たった』数秒は濃密で緊張感の漂う数秒だった。
「…ふん」
その一息だけを残しセトは自らの席に戻った。
「え~っと~、これで終わりですけど、みんな恐い顔しちゃダメですよ?これから一緒に頑張る友達なんですから」
そう言って笑顔を見せるトーワだが、生徒達の表情はすぐには和らがなかった。
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