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「大丈夫か?ぼーっとして…」
「悪い…今、上がっても平気?」
「…俺の部屋なら」
黒坂を家に上がらせ、部屋に向かった。
後ろから恐る恐る付いてくる心も交えて部屋に入る。
部屋に入るや否や黒坂は俺が寝ていた机まで行き、椅子に座り本を開き始めた。
「何…してんの?」
「昼までには帰る…」
こちらを見向きもせず、何冊もの本に目を向ける。
その背中をしばらく見つめるが、ぴったりと引っ付き服の裾を掴む心の手が震えていた。
「心?どうしたんだよ…」
振り返って腰を落とし、心の目線に合わせる。
目を合わせたり、合わせなかったりと大きな瞳は戸惑いを帯びながらきょろきょろと動く。
「兄ちゃんの友達だよね?」
その言葉だけは俺の目をじっと見つめて言った。
たぶん、黒坂の場所によく分からない他人が居座っているから不安になっているのだろう。
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