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ちょうど階段を降りきると、タイミングを図ったように呼び鈴が鳴った。
心はそれを聞くと、真っすぐに玄関に進み、戸を勢いよく開ける。
「どちらさまー!?」
「あぁ…お兄さん居る?」
「に、兄ちゃん!り、リュウの人が来たー!!」
慌てた様子でそう言い、心はすぐに俺の陰に隠れた。
リュウの人?
そこには俺の姿をした黒坂が訪れていた。
小さな疑問を持ちながらも、玄関に顔を出す。
「何しに来た?」
「……」
黒坂は目を大きく見開かせ突っ立ったままだった。
その目に俺は映っていないようで、一体何を見つめているのか分からない。
「おーい…?」
目の前で手を振り、遠い世界から引き戻す。
「ん!?……ぁあ!」
意識を戻し、黒坂の瞳にやっと俺が映る。
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