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「モテモテじゃないか、良かったな。」
うんうんと頷く僕に、瑞姫は首を振る
ラブレター、といってもかわいらしい便箋ではない白い封筒を鞄に仕舞い込む
「あ……あたしは、マオちゃんだけで……十分、だよ
こんなの、……いらない」
学生鞄の手紙が入った場所を叩いて、瑞姫は口を尖らせる
それでも律儀に仕舞ったのは、真面目に断りに行くからだろう
僕には、その感性はよく分からないが、尊敬できる
二人並んで、少し古ぼけた階段を登って教室へと向かう僕達
二階とあって、大した労力ではないが、登りきってため息
「マオちゃん、疲れたの?」
「違う違う。さっき避けられてたから
教室でそうだったら、嫌だなって」
先程の超常現象、僕達はモーゼか何かか、僕達を避ける人々
何があったか知らないが、ちょいと恐ろしい
「うー……。ごめんね」
「瑞姫のせいじゃないだろ。謝るなよ」
いつも、悪くないのに謝る瑞姫
瑞姫はいつでも優しいのだ
そんな瑞姫の背中を叩いて、着付け
僕も喝を入れ、教室に踏み込む勇気を確認した
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