261人が本棚に入れています
本棚に追加
クラスの目の前。横開きの扉に手をかけ
曇りガラスの向こうをシュミレート
挨拶したら、普通に声が返ってくるそんなはずだ
そう、決めつけて
「おはよう」
「おはようございます」
思い切って、扉を横にスライドさせた。
しかし、誰ひとりとして僕達に答えてくれる人はいなかった
でも不思議な事に、クラスの皆の目線は僕達に向いているのだ
誰ひとり、乱れる事もなき、クラスの目線
違和感ありありだ
「どうか、した?」
ざわめく事もなく、ただ、俺達を見る
何人かは、怯えてるようだ
しかし、ずっと教室の入口に突っ立ってる訳にもいかず
僕はとりあえず自分の席へ向かう
瑞姫とお隣りの窓際、一番後ろだ
そこまで歩く僕だったが、道を譲るクラスメイト達のよそよそしさが怖い
まるで、法律で、僕達と関わっちゃいけないと決まったみたいだ
そんな勘違いをしそうな程の徹底ぶり
「何があったんだ?」
小声で、隣の瑞姫に尋ねるが、瑞姫は寂しそうに小首をかしげるだけ
やはり、原因不明らしい
どうやって、誰から原因を聞き出そうか
悩んでいるうちに、始業のチャイムが鳴り響いた
「ま、後々考えるとするか」
最初のコメントを投稿しよう!