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「おはよー、朝だよ。学校行こう!」
「おい。元気だな……」
低血圧な俺を揺らすのは、幼なじみ
氷川 瑞姫【ヒカワ ミズキ】
長い黒髪を、僕の上に垂らしながら、僕を間近で覗きこんでくる
「うん。あたしは元気が取り柄だから
ね、起きてよ。朝ごはん、大好きなオムライス作ったから」
また朝からヘビーな物を。
そう思いはしたが、作ってもらった手前、文句も言えない
「ありがとう。起きる、起きるよ」
重い上半身を布団から少し浮かせ、血の巡りを確認する
そのうちに、だんだん心拍数が上がり、周りが見えはじめる
ボロアパートの一室。大家室だけあって、他の部屋よりは広い作り
元は白い壁紙も、日焼けに少しくすんでいる
家具という家具もない、和室
そこが僕の寝室だ
「お母様からモーニングコールがあったよ」
「なんか言ってた?」
「マオちゃんをよろしくだって。」
僕は、お父さんが事故で死んでから、母さんと二人暮しだった
しかし今は、母さんは単身赴任で都会に行っている
僕はこのお爺ちゃんの遺したアパートに一人暮らし
瑞姫がいるから、ずっと一人でもないんだけど
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