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「言われなくても、きちんとやるのに……」
「瑞姫、いっつもありがとな」
「マオちゃんのお世話が生きがいだから」
新堂 真央【シンドウ マオ】
それが僕の名前だ。
女の子っぽい名前でよくからかわれもしたが、今はそれも無い
そんな事で話題になるのも、最初だけだ
高校一年生の冬ともあれば、気にする奴もいない
「薄っぺらい生き甲斐だな
もっと自由に生きろよ?」
幼なじみの行方を少し心配しながら、ダラダラと制服に着替える
だいぶ着慣れたブレザー。もうネクタイにも慣れた
仕上げに、ぼやけた視界を補う眼鏡をかけたら、完成だ
「自由に生きたらこうなったの。」
僕の着替えを眺めながら、にへらと笑う瑞姫
どこまでもお気楽な笑顔が、僕を癒す
「ほんと、瑞姫は僕が大好きだよな」
「いや、好きっていうか
ほら……ずっと一緒にいるからっていうか」
瑞姫が僕に好意を寄せてるのは、ずっと前に気が付いている
中学卒業の時に、告白されかけたのだ
人並みの神経を持ち合わせているなら、すぐに分かる
「冗談だよ」
それを受け流すのにも、理由はある
僕を昔から知っている瑞姫は、もしかしたら『昔の僕』を追いかけてるのかもしれないのだから
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