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「オルタイルでまた暴動が起きました」
見渡す限りの豪華な装飾品が散りばめられた大広間。
真っ赤な絨毯の上で膝を付き、頭を垂れるのはこの国の自慢の一つ『聖騎士団』の兵士。
深い碧の軍服に身を包み、腰からは物騒な剣を携えていた。
「黙らせろ」
民は餓えと恐怖しか抱けぬ国の王はまだ幼さが抜けきらない16歳程度だろう。
しかし、その容姿とは裏腹に誰をも平伏せさせる威厳を放っていた。
国の同い年の青年と比べれば一目瞭然で、金の髪は絹のように美しく、不機嫌そうに細められたエメラルドグリーンの瞳、適度に鍛え上げられた身体は何処からどう見ても彼は育ちの良さがありありと伝わってくる。
それに、玉座に座るにはまだ若すぎるのだが父から譲り受けた冷酷さと残虐さは国外中にも広まっていた。
それを踏まえ、彼に逆らう者など一人も居ない。
しかし。
時折起こる民達の暴動。
王は面倒臭そうに呟いた。
「周りの村に見せしめのように全村住民を処刑しろ。…そしたら暫くは暴動も起きまい」
「しかし小規模な暴動故にそこまでせずとも…」
「ゼオリス…僕に逆らうのか」
有無を言わせない王の言葉に騎士はただ下を向くばかり。
あの青年の一体何処にこの気迫があるというのだろうか。
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