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「まだ分からないようだな。…伝令!」
「はっ!」
大広間の入り口に待機していた伝令が二人、姿勢を真っ直ぐにし敬礼をする。
「オルタイルを根絶やしにしろ!捕虜は要らない、皆殺せ!一人も逃がすなっ!!」
怒声にしか聞こえない王の命令。
いくら王が自分達より年下でもその冷酷さや残虐さは誰よりも郡を抜き、気迫迫る物だった。
「行け」
その声に脱兎の如く走り出す伝令。
「ゼオリス、君はまだ分からないようだな」
首筋に宛がった剣を鞘に戻すと、王は癇癪を起こした子供の様に怒鳴り始めた。
「お前達の王はこの僕だ!!父上でも母上でもない、この僕だ!!僕の命令は絶対だ!!聞けないと言うのか!!」
齢16にしても王位継承には問題があった。
彼は物心付いた時からずっと血腥い戦場の駒として育てられ、知識を埋め込まれた。
成長するに必要な感情など邪魔だと怒鳴られ、遊ばずにずっと武術と勉学に勤しんだ幼少時代。
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