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友人と言えるものは、このゼオリスのみ。
いや…友人とは言えない。
ゼオリスは金で雇われた王専用玩具。
表舞台から降りた父や母の代わりに彼、ジオールは必死に足掻いた。
幼い彼の小さい背に負わされた荷は支えきれず、崩れてしまった。
そう今のように。
「僕は偉いんだ!どうせっどうせ!!ゼオリスは笑っているんだろ!!僕が馬鹿だと笑っているんだろ!!」
「ジオールっ!!」
ジオールは我を忘れてゼオリスに馬乗りになった。
幼少から感情を押し殺し育った彼には、感情のコントロール等分かるわけがなく溢れ出した感情は収まるまでいつまでま喚き散らす。
「ジオールっ!落ち着いて!落ち着いてください!」
その度にゼオリスは彼を止めた。
今の彼には誰の声も聴こえない。
届くのはゼオリスの優しい声のみ…。
「僕はっ!!僕は偉いんだ!!」
「ジオール!!」
「…っ」
先程まで弱々しい表情をしていたゼオリスが怒鳴ったとは思えない程の怒声。
瞳の奥では怒りの炎が揺れている。
「貴方は我々の王ですよ!!貴方には我々聖騎士団が付いています!不安になられてどうなさいますか!!…貴方は私達が守りますから」
優しく微笑むゼオリス。
それは金で雇われた者の笑みではなく、一人の人間としての笑みだろうか。
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