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「なーあ、安ー?」
「んー?」
そいつは俺の呼びかけにギターを弾いていた手を止めこっちを向いた
「安はさー、幸せってなんやと思う?」
「…へ?」
―――事の始まりは一時間前
安が俺ん家にくる前に、ずっと考えていたことがあったんや
「幸せ」について。
柄でもなけりゃそんなの考えたことすらない
でも、さっきテレビで離婚した芸能人が、司会者に「幸せ?」って聞かれて
「幸せです」って答えてたんよ
それがなんか妙に胸でざわついて、ずっと考えてた
んで今に至るわけや
「渋やんの口からそんな言葉が出てくるとは思わへんかった…」
安は“この子熱でもあるん?”とでも言いたそうな目で見てくる
「ええから、教えてや」
恥ずかしくなって交わっていた目をそらした
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