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地球に帰れなくなって、どれだけ経ったのだろう。これだけ長時間、地球に帰れないことは度々あった。風呂に飛び込んでも、噴水に足を浸しても、この世界に来た時のような吸い込まれる瞬間は訪れなかった。まるで、今までの移動が全て夢じゃないのかと思うくらいに、水面は音もたてずに静まり返るだけだった。
割り切ることなんて出来なかった。突然訪れた別れに、覚悟が足りなかったと責められても、頷くことなんて出来なかった。
あの時と同じことが、また今起こっている。どれだけ王としての仕事をこなしても、ステージクリアの表示は出なかった。水の渦は、いつまで経っても自分の前には現れない。
何度も言い聞かせている。あの時も結局は戻れたのだから、今回だって大丈夫に決まっている、と。けれど、いつ現れるか分からない瞬間を待ちわびることは、胸の奥に暗雲を呼ぶ。
このまま戻れないのではないかという恐怖に、足元すら竦み、がらにもなく塞ぎこむことだってあるのだ。
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