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ふたりが出逢ったのは、ちょうど三年前の今頃だった。
気持ちよく晴れた春の日で、毎日のように河原沿いを歩いて学校から帰っていた。
たまたまその日は緑の草に覆われた土手に下り、水面に映る景色を眺めながら鼻歌まじりに歩いていた。
そのときに聴こえてきたのが、彼の歌声だった。
甘く、切ないメロディー、心が震えるような詩、そして彼の透き通った声。
すぐ視線の先には、杉の木にもたれてギターを弾きながら歌っている彼の姿があった。
――大丈夫 一人じゃないよ
君が君である限り
僕は僕でありたいと思える
君が僕を愛してくれるなら
僕の時間のすべてをかけて
ずっと君のそばにいるよ
なにも心配しなくていい
だから眩しい笑顔を見せて――
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