佐倉

3/4
前へ
/59ページ
次へ
バイトでは、俺に初経験ばかりさせた。 ミスをすると注意され、上から目線で命令されたり、始めたばかりの頃は、素直に聞き入れていたが、俺の性格は俺様。 爆発した俺は「俺様に指図すんな!」そう口にした。 店員達は俺をよく思わなくなっていた。 でも、彼女は「バイトの分際で何言ってんの?」そう叱るだけで、俺を辞めさせる事もせず、他の奴と特別扱いはしなかった。 今まで通り、厳しく指導され、ちゃんと出来ると「やれば出来るじゃん」と誉めてくれる。 俺様を嘗められているようで、気に入らなかったが、なんだか居心地がよかった。 両親がしてくれなかった事を彼女がしてくれる。 本当は両親に与えてもらいたかった、この愛情。 その思いは胸の奥底にしまい、俺は彼女の下で一生懸命に働いた。
/59ページ

最初のコメントを投稿しよう!

431人が本棚に入れています
本棚に追加