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その日。
午前の授業が終わり、友達とお弁当を食べた後。
私は、まだ覚えきっていない広い校舎を、探検気分で歩き回っていた。
本校舎から少し離れた所にある建物の扉を開けると、そこは室内プールらしく、塩素独特の匂いが鼻をさした。
ガラス張りの屋根から降り注ぐ太陽の光が水面で反射して、何とも神秘的な光景が広がる中、プールサイドに寝転がる1人の男子が目に入った。
人見知りをしない私は、声を掛けようと、その人に近付く。
しかし、
私が声を掛ける前に、私の気配に気付いたのか、その人はむくっ、と上半身を起こすと、身体を捻って私を振り向いた。
明るく染めすぎて痛んだ短パツ。
切れ長でつり気味の目。
左耳にピアスが2つ。
シャツのボタンは第2まで開けられており、シンプルなシルバーアクセがのぞいている。
カッコいい。
けど、
怖い。
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