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「あ゙~…誰?」
明らかに寝起きだ、と言う様な声で、彼は気怠そうに私を見てそう呟く。
私は、慌てて口を開いた。
「お、お昼寝中にスミマセン!あたし、1年の西村 侑紀って言います!」
「別に良いけど…。俺は2年の谷 渚。まぁ、んなトコ突っ立ってねーでこっち来れば?」
そう言って、谷先輩は自分の隣りをポンポンと叩いた。
てっきり、睡眠のジャマをした事を怒鳴られ、出て行けと言われると思っていた私は、直ぐにはその言葉に対応出来なかった。
「…西村?来ねぇの?」
谷先輩の声で我に返り、慌てて先輩の横に座る。
座ってから、先輩との距離の近さに気付いた。
先輩がつけているのであろう、バラの香水の香りが、塩素の匂いの中でもはっきりとわかるぐらいの距離。
私は、取り敢えず気を紛らわそうと思った。
「こ、ここステキですね。先輩、良く来るんですか?」
「ん~…まぁ、そこそこ」
「へぇ~…」
ダメだ。紛らわせない…。
男の人と、これくらい近付いたのは、初めてじゃない。
今まで、それなりに付き合ってきたし、免疫だって、それなりにあると思う。
なのに私は、何故かすごくドキドキしていた。
谷先輩が居る方の、右半身が熱い…。
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