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あれから何十本のダンクを叩き付けたのだろうか。窓から差し込む光の加減と色で夕暮れが近い事が分かった。
「…はぁはぁ。」
激しい運動のおかげでノン子は少し落ち着くことができた。そして、冷静に考えてみた。自分とのび太の関係の事。6年以上離れていたとは言え、ただの幼馴染みでしかない。のび太が他に好きな人がいても、嫉妬する資格はあるのだろうか?彼女でもないのに。
「…。」
あの3年の先輩とのび太の関係はなんだろうか?自分と離れていた間に知り合ったのだろうか。それ以上に気になるのが、あの先輩の目。どこか自分と似ている気がしている。あれは恋をしている目だ。彼女もまた自分と同じ人が好きなんだろうか。
「・・・帰ろう。」
色々な思いを馳せながら、ノン子は後片付けをして、帰宅する事にした。
「…それにしても失敗したかな。」
のび太と美夜子の事がショックでそのままの勢いで体育館に来たのだ。つまり制服のままで。その状態で激しい運動をしたので、汗でボトボトなのだ。残念な事に体操服やユニフォームといった着替えもなくそのままの状態で帰らなければならないのだ。
「帰ったらお風呂入ろう。…あれ?」
ノン子は何気なく空を見上げると、自分の想い人が空を飛んでいたのだ。それも箒にまたがって。
「あれ?ノンちゃん。」
そういうとのび太は地上に降りてきた。
「の、の、のびちゃん?」
「あ、ごめん。びっくりした?」
それはそうであろう。人間が空を飛んでいるのだから。
「これはね、ホーキングと言ってね、箒で空を飛ぶ魔法なんだ。」
「ま、魔法?」
ノン子は突然過ぎて混乱していた。
「美夜子さんに教えてもらったんだけど…乗る?家まで送るよ。」
「う、うん。」
ちょっと怖そうだけど、のび太が誘ってくれたし、彼の言葉に甘える事にした。
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