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世界が整うと、次に『命』は自分以外の生き物たちを生み出した。
生き物たちは自ら生活し、本能によって種類と数を増やしていった。
それが、アルフヘイム(『命』の世界)と呼ばれるこの世界の始まりの話である。
そして、すべての生き物たちの始まりの話でもあった。
やがて知能を持った動物が増え、中でも人間はほぼすべての生き物の頂点に立つようになった。
本能とは異なった独自の概念、感情を持っていたからだ。
『命』が踏み固めた大地や山から発掘される鉱石。
それはあらゆる感情に共鳴し、奇跡という現象を起こすことができた。
感情が豊かで強い人間は、その奇跡を自在に操ることができたのだ。
ところが、そうやって強い力を持つようになった人間は、次第にアルフヘイムを悪い方向へと変えていった。
木を切り倒し、他の生き物を見下し、挙げ句の果てに人間同士で殺し合った。
ただ、人間たちも単に愚かではなく、少しずつこのままではマズいと悟り始めた。
それにはっきり気づいたのは、すでに人間も動物も普通に生活できなくなってからだった。
ことの元凶である人間は生き延びるべく知恵を絞り、結果、この世界を捨てた。
『命』を殺し、そのエネルギーと自分たちの感情で起こした奇跡で別の世界、ミッドガルド(人間の世界)を創って移住したのだ。
ついでに食料などの理由から、一部の動物や植物もそこに移した。
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