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嫌になった。
反発するのも疲れた。
認めてくれなかった。
存在価値なんてなかった。
自分自身が嫌になった。
この身に流れる汚れた血、それがすべての元凶だったから。
みんなの言うことは正しくて、もっともなことで、反論すら浮かばない。
「……もう、いいでしょ?」
疲れた声で呟き、少女はその場から走り去る。
最後まで涙は出さないようにして、でも、それは無駄なことだった。
鼻がつんと冷たくなることも、目頭が熱くなることもなかったからだ。
とっくに涙腺は渇いていたらしい。いや……そもそも泣きたいとすら思わなかった。
当然だ。これから自分が望んだことをしに行くのだ。
やっと楽になれる。
その思いで、少女はただ走っていった。
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