日常

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8:30に二人は学校に着いた。鍵山高校は8:35からHRであり、かなりの余裕があったので、二人はゆっくりと教室を目指した。 この高校では、始業ギリギリに入ってくる生徒が多いので二人は余裕をかましていたのだが・・・ 「よう、往来ぃ!待ってたぜ!」 学校に着いて早々往来は三年の不良に絡まれた。往来が入学式にボコボコにした先輩の一人である。 「あれ?先輩、生きてたんスか?」 驚いた表情で往来は返事をする。 「んだと!?てめぇ!」 先輩は今にもキレそうな顔でこめかみをピクピクさせている。 「お前にやられたときの顔が疼(うず)いてよぉ、ボコボコにしねーと気が済まねーんだよ!」 すると先輩はポケットから、スッ、とナイフを取り出した。 「あ~あ、ダッセェの。つか、そんなんじゃボコボコにはできないだろww」 往来は呆れながらため息をついた。ナイフを前にしても余裕の態度。よほど自信があるのか往来は狩魔に振り返り、 「狩魔~、先行っててくんねぇ?」 と狩魔に先に行くよう言った。 「ん?もともとそのつもりだけど?」 それに対し狩魔は既に教室に向かおうとしていたが。 「ちょっ!そこは手伝おうか?とか言うべきじゃないの!?」 と往来は驚く。 「えー?めんどい」 いかにもって感じで狩魔はだるーんとした声で言う。 「おい!俺を無視してんじゃねぇ!」 我慢の限界なのか不良がナイフを狩魔に振りかざした…が、 「あ?」 狩魔がガンを飛ばした。それを見た不良は、 「ひっ!?」 と軽い悲鳴をこぼし、後ずさる。 「お前の相手は俺じゃなくて、往来だよなぁ?なんで俺にそれを向けてんだよ!!」 そう言うと同時に、狩魔は拳を握り、一瞬でその先輩の胸元まで行ったかと思った矢先、ゴッという音と共に不良の鼻を殴り、吹っ飛ばした。不良はピクピクしながら泡を吹いて気絶していた。 「相変わらずつえーな」 ため息混じりに往来は呟いた。 「けっ!準備運動にもなんねーぜ」 つまらんと狩魔が言った途端、 キーンコーンカーンコーン という鐘の音が鳴り響いた。 「ヤバい!遅刻する!往来急ぐぞ!」 狩魔はすでに階段の近くにいた。往来はおう!と言って狩魔と一緒に階段を駆け上った。
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