日常

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「お、いよいよお出ましか!」 と、クラスの男子の期待が高まる。その証拠にみんな、ガヤガヤと話し始めた。 「おら!黙れって言ってんだろ!」 帝教諭がキレだした。みんな顔を見合わせて、『黙らなきゃ殺される!!』と野生の勘が働いたのか黙りだした。 「よーし、静かになったな!それじゃ入ってきな!」 帝教諭が手招きしたのを見て、一人の女子生徒が教室に入ってきた。 「自己紹介しな!」 帝教諭に言われ、その女子は一瞬下を向いた後、顔を前に向け、静かに語り出した。 「柳原亜里亞(やなぎはら ありあ)です」 皆が黙っていたせいか、狩魔にはその声が凛として聞こえた。 「というわけだ!みんな仲良くするように!」 それで自己紹介は終わりだというかのように無理やり終わらせた。 「んじゃあ、柳原は柳の隣な!」 狩魔の横を指差して、席に着くよう指示した。その前に、と一人の男子生徒が、 「先生~、質問タイムはないんですかぁ?」 と質問したが、帝教諭曰わく、 「んなもん後でやんな!」 とのこと。みんな心の中で文句はあったものの、殺されるのはイヤなので黙るしかなかった。 亞里亜は帝教諭に言われた通り、自分の席についた。 「んじゃ、終わりな!」 今さっきまで、HRをやると言っていたのにあっさり終わらせてしまったので、みんな拍子抜けした。 どこまでも適当な教師らしい。
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