娘にメールを送っても、返信してくれません。

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「学校には絶っっっ対に来ないでよ。絶対に」 朝、パンケーキを焼いていた俺に彩音はそう言い残し、すぐさま、店のドアから出ていった。カラン、とドアのベルが揺れる。 「ありゃ~、朝から振られちゃったねぇ~。ハルちゃん、元気出しなよ。女は彩音ちゃんだけじゃないよ?」 カウンターから少し離れたボックス席に腰を下ろしていて、愉快そうに俺に声を掛けてきた初老の男性。 常連客の如月(キサラギ)さんだ。 たっぷりとした白い髪と眼鏡がトレードマーク。ちょっとベルトがキツそう。話に聞いたところ、最近は奥さんの料理ががヤケに塩辛いらしい。 俺は、如月さんが奥さんに多額の保険金を掛けられているのではないかと踏んでいる。 「如月さん、俺をからかいに来たんですか?」 「いや、そのパンケーキとカフェオレを頂きに来たよ」 屈託の無い笑顔が、いかにも「からかうのが大好き」と表していた。 俺も塩を盛ろうかな。
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