娘にメールを送っても、返信してくれません。

3/5
前へ
/75ページ
次へ
少しダークな気持ちになりながら、焼けたパンケーキを皿に重ね盛り、カフェオレ、シロップ入れ、食器をトレーに載せた。如月さんの元へ運ぶ。 「お待たせしました」 テーブルに音を立てないように皿を置く。如月さんは、パンケーキの甘ったるい香りに頬を緩めた。 「今朝のも美味しそうだね。頂きます」 「ごゆっくりどうぞ」 俺は背中で食器の触れ合う音を聞きながら、カウンターの中に戻った。 何気なく、壁掛け時計を見上げる。 八時二十八分。 店を開けてから三十分近く経っていた。 いつもこの時間帯はお客さんが少ないが、特に今日は、如月さん以外にお客さんは居なかった。 貼り紙の効果だな。この調子なら、店を閉めるのに時間は掛からないだろう。 ええ、行くのは諦めてませんよ? 「『学校に来るな』って事は、何か行事が有るのかな?この時期だと、三者面談とか?」 不意に話し掛けられた。如月さんは口にパンケーキを含んでいるのか、少し声が籠って聞こえる。 『食べているときに喋らない』って教えられませんでした? 「授業参観ですよ。その後に懇談会がありますが、俺は帰ります」
/75ページ

最初のコメントを投稿しよう!

95人が本棚に入れています
本棚に追加