娘の近くに寄ると、気のせいか避けられます。

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「早く着きすぎたかな?」 学校を校門の前から見上げ、独り言を言った。 ちなみに、なんの滞りもなく店を閉められました。もちろん、口にはマスク装備済みです。 今現在の時刻は午後一時。授業参観の時間は一時二十五分から。さて、取り敢えず… 「まずは職員室か」 校門のすぐ横に設置されている掲示板に、 『授業参観の保護者様は、二階の職員室までお越しください』 と、記されていた。お越ししますか。 校門を通り、校庭の方を見てみると、制服のままでサッカーをしている男子が六人居た。 一人がミスをすると、周りの男子達が「ドンマイっ!」と笑顔で返す。中でも、赤く染めた短髪の男子が、一番元気に走り回っていた。 いかにも青春。良いねぇ、若者は。 まあ、うちの娘に手を出したら、その脚を折るけどな。 勝手に少年達に敵意を抱(いだ)きつつ、校舎に入り、靴を履き替えた。 廊下に出ると、昼休みだから当たり前なのだが、生徒が沢山いた。 何人かの生徒は、俺に会釈をしてから横を通って行く。「こんにちは」と言っていく子もいた。 俺も学生の時、そんな風にしたなぁ。今度は俺がされる側か…。
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